投資の基礎
なぜ投資をするのか?
単純に言えば、普通預金口座にお金を預けているだけでは、将来の資産形成には不十分です。普通預金の金利がほぼゼロの中、お金を賢く投資することで、単なる貯蓄以上の効果が期待できます。
このガイドでは、投資の基礎知識、自身の状況や目標に合わせたポートフォリオの選び方、さまざまな投資口座の種類について解説します。また、退職後の資産形成のための節税(または非課税)の方法についても詳しく説明します。
始める前の免責事項
このガイドは情報提供のみを目的としており、金融アドバイスとして考慮されるべきではありません。すべての投資にはリスクが伴いますので、損失を受け入れられない資金は投資しないでください。
投資を始めるのに最適な時期は?
投資を始めるのに最適な時期は「今」です。年齢に関係なく、市場で運用される時間が長ければ長いほど、資産が成長する機会も増えます。
投資は直線的に成長するわけではありません。複利という単純ながら強力な概念が、投資を魅力的なものにしています。複利は、雪だるまが坂を転がり落ちていくようなものです。転がるにつれて雪が付着し、どんどん大きくなっていきます。大きくなればなるほど、さらに多くの雪を集める表面積も増えていきます。何十年もの時間をかけて複利効果が働くことで、小さな投資が将来の大きな資産へと成長する可能性があります。
複利の仕組み
簡単な例を見てみましょう:1,000円を投資し、毎年10%の利回りを得られると仮定します。何もせずに見ているだけで、毎年獲得できる金額が増えていくのが分かります。
- 1年目:1,000円が1,100円に(100円の収益)
- 2年目:1,100円が1,210円に(110円の収益)
- 3年目:1,210円が1,331円に(121円の収益)
実例で見る複利効果
グローバルに分散投資されたポートフォリオの平均成長率(7%)と普通預金(0.2%)を比較してみましょう。
投資して保有し続けるだけで、価値が760%増加する可能性があります。追加の努力をすることなく、普通預金と比べて65,505円多く稼ぐことができます。魅力的な選択肢だと思いませんか?
投資の心理
市場は常に右肩上がりというわけではなく、自分のお金が市場の動向に左右されるのを目にするのは、最初は不安かもしれません。さらに、株式市場での投機で全てを失ってしまったという警告的な話も多く、そのために投資自体を怖れる人もいます。
以下の原則を覚えておくことで、長期的な成功への準備ができます:
- 市場は上昇傾向:過去100年間、世界の株式市場は不況を経ても常に上昇傾向にありました。
- 分散投資とグローバル投資:個別株式への投資は楽しく感じるかもしれませんが、それは投資というよりギャンブルに近いものです。グローバルに分散された投資信託を利用することで、手間やコストをかけずに世界中の何千もの株式に投資できます。
- タイミング重視ではなく時間重視:投資のタイミングを図ろうとせず、定期的に投資を続けることが重要です。
- 数十年単位で考える:市場が下がった時、パニックになりがちですが、これは正常な変動です。数十年の投資期間では、上下の変動は避けられませんが、長期的にはプラスになる可能性が高いです。
- 余裕資金での投資:投資のために無理な財政リスクを取らないでください。十分な貯蓄を確保してから投資を始めましょう。
重要ポイント
長期投資を目指すなら、市場の日々の変動を気にする必要はありません。定期的な投資を続け、時間に任せることが大切です。
投資と税
日本では長年、預貯金が資産運用の主流とされてきましたが、近年は世界水準の投資商品も豊富に提供されています。グローバルに分散投資されたポートフォリオを通じて、世界経済の成長を取り込むことが可能です。
さらに、政府は国民の資産形成を後押しするため、以下のような制度を整備しています:
税制優遇口座
大きな購入のための貯蓄や退職後の資産形成のために、NISAやiDeCoなどの税制優遇口座が用意されています。これらの口座を利用することで、大きな税制上の優遇を受けたり、NISAの場合は非課税で投資したりすることができます。
キャピタルゲイン課税
投資収益に対する比較的低い税率(20.315%)は、投資家にとって大きな利点です。例えば、1,000円の利益に対して約203円の税金を支払うだけです。これは給与所得に対する税率と比べても大幅に低い水準です。
重要ポイント
キャピタルゲイン税(譲渡所得税)は、投資による利益に対してかかる税金です。例えば、1,000円の利益に対して約203円の税金を支払うだけです。これは他の先進国と比べてもかなり低い税率で、給与所得にかかる税金と比べても大幅に低くなっています。
投資家保護
金融庁は金融機関に対して厳格な基準を設けており、投資家保護制度も充実しています。信頼できる証券会社で投資を行えば、資金は安全に保護されます。
ただし、投資には常にある程度のリスクが伴いますが、リスクは収益の可能性も意味します。自身のリスク許容度に合った賢明な投資を行うことで、数十年かけて貯蓄額を大きく増やすことができます。リスクとリターンについては次の章で詳しく説明します。